吹奏楽部へ
中学生になると、クラスでは部活に入る入らないの話で持ちきりだった。
私は同じマンションに住んでいる、小学校のとき同じ登校班だった2個上の先輩から、吹奏楽部に入るよう勧められていて、なんならその先輩が担当しているサックスという楽器をやるように言われていた。
そもそも私は小学生の頃、さきに勧められてブラスバンド部に入ったが、担当は打楽器だった。
中学に入ったら吹奏楽部には入ろうと思ってはいたが、楽器はブラスバンド部のときから憧れていたトロンボーンという楽器がやりたかった。
けど先輩の押しの強さに負け、しぶしぶサックス希望で入部した。
サックスパートは私含めて全部で6人いて、私と同学年の子は1人だった。同じクラスの子ではなかったが、同じサックス仲間として仲良くなった。
私は体格が大きくはなかったので、アルトサックスを担当、私と同学年の子、みさ(仮名)は少し背が高かったのでテナーサックスを担当した。
私が入部した吹奏楽部は、当時それなりに強豪校で、吹奏楽コンクールでは全国大会にも出場している学校だった。
私たち1年生は、担当する楽器によってはそもそもコンクールにも出れないのだが、サックスパートは人が少ない方なので普通に出れた。
でも丸々一曲吹かせてもらえるわけではなく、たったの一小節しか吹かせてもらえなかった。
けどその、たったの一小節を何時間も練習させられるのだ。
曲の練習(合奏)に参加させてもらえるだけ、まだ良い方で、基本的には基礎練習のみ。
授業がある平日はほぼ基礎練しか時間がとれず、基礎練も腹式呼吸が1時間、マウスピースでの練習が1時間、ロングトーンが残りの時間、の配分。
土日は毎週練習があり、朝から夜までみっちり。その場合は午前中、まず体力作りと腹式トレーニングで校庭を何周も走らされ、腹筋と背筋の筋トレのあと全て平日にやっている基礎練、その後午後から一小節の練習1〜2時間のあと、合奏に参加して終わる。
土日はそもそもハードすぎるので、たった一小節のためだけに参加する合奏中、疲れてウトウトすることもしょっちゅうあった。
顧問の先生はかなり厳しい人だったので、指導はヤクザのようだったし、上手く吹けない子に対しては廊下に放り出されたり、校庭を走らされたりした。ウトウトしているのがバレたときは指揮棒の持ち手の石のように硬い部分で頭を叩かれた。これが本当に痛いので、すぐ目が覚める。
正直、ここまでがっつり音楽漬けになる予定ではなく、ただ楽しくやりたかっただけなので、とんでもない部活に入ってしまったと後悔した。もちろん、ついていけない子たちはどんどん辞めていった。
私も辞めたい気持ちしかなかったが、辞める勇気もなかったので、結局続けることとなった。